人事に支援してほしいこと ~新人を受け入れる上司の本音~
新人の配属にあたって、人事は現場の上司にどのような支援をしていますか?例えば、新人に関する情報提供をしていますか?と聞くと、「先入観になるので、出身大学と名前以外は伝えていません」「配属後は、上司に任せています」と回答をされる企業が何社かありました。
確かに、無用な先入観を持たせるのは、新人にとってよくないでしょう。また、現場の教育には現場の流儀があり、人事が立ち入ることは難しいのかもしれません。しかし一方で、実は上司も不安を感じているのです。
今回は、新人を現場に配属するにあたって、人事ができる現場上司の支援についてお伝えします。
■現場のリアル ~新人受け入れに向けて、感じること・準備すること~
大変身近な例ですが、私の実体験を書いてみたいと思います。
私の部署(開発部門)には昨年4月に1名新人が配属されました。私にとっては上司として新人を受け入れるのは初めての経験でした。新人が配属されるとわかったのは、3月中旬。入社後約2週間の全社研修の後に、4月中旬に現場に配属されるまでの約1ヶ月間で、いろいろな準備が求められました。
<準備1:まずは座席>
3月中に決める必要があり、意外と気をつかったのが座席。上司である私の隣にするか、育成担当を付けたいので、育成担当の隣の方が良さそうだとか・・・。新人が気軽にコミュニケーションを取れることがまず大事だろうと思っていました。
<準備2:育成担当の決定>
育成担当を決めるには、配属される新人がどのような特徴の子なのかを知りたくなります。その時点で、新人に関する情報は履歴書とSPI(適性検査)のみでした。それを頼りに自らの経験・勘で人物イメージを膨らませた上で、育成担当を決めました。
<準備3:現場教育プランの決定>
開発部門に新人が配属されるのは久しぶりだったので、昔の資料をあさったり、いろいろな人に聞いたりして、過去やっていたことを洗い出しました。それらの情報を踏まえ、育成担当と相談をしながら、まずは6月末までのプランを考えました。3月の段階で、人事から全社研修の内容も情報提供され、それは参考になりました。
<準備4:最初の仕事のアサイン計画>
これと同時に、4月から期が改まるので既存メンバーの仕事の見直しなども検討しつつ、どの仕事を新人にアサインすると良いのかもイメージ。新人なので、自部署の仕事の基本をひと通り身につけられる仕事にアサインすることを基本におきましたが、本人の志向やスキルも確認したいと思い、配属後に話を聞いた後に決めることにしました。
<準備5:新人との顔合わせ機会>
全社研修期間中は外部研修会場での研修がほとんどだったため、実際に新人が部署に顔を見せるのは、研修終了後でした。
人事からは、全社研修のオブザーブや懇親会への参加などの誘いがあり、早くから新人の様子を知るという意味でこういう取り組みは良いと思いました。
<準備6:最初の1週間の時間割>
座学インプットだけで予定が埋まるわけではないので、空き時間にやってもらうことも含めて時間割りを組み立て、新人を迎えました。そして初日は、上司である私との面談です。1時間くらいとって、全社研修の感想や、入社動機や配属されるうえでの期待・不安を聞き、簡単に職場を紹介しました。
■人事ができる現場への支援
このように、新人配属が決まってから配属初日を迎えるまで約1ヶ月、試行錯誤で準備をしたわけですが、振り返ってみると、現場の上司としてやるべきことはいろいろあるのに、あまり体系的に整理されていないものだと思いました。ましてや、初めて新人を受け入れる場合、何からやっていいのかもわからないものです。
人事ができる支援1:
人事の方から、新人受入れにあたってやるべきことなど整理して提供してもらえると、とても役立つと思います。
人事ができる支援2:
新人についての情報も、できる限り欲しいと思います。履歴書や採用選考時の情報、全社研修期間時の情報、配属理由など、マネジメントに役立つ情報は整理して提供できると良いと思います。
人事ができる支援3:
弊社では新人を受け入れる部署がたくさんあるので、いろいろな部署でこういった取り組みがなされていたはずですが、部署間で新人教育について情報交換する機会はありませんでした。
しかし、新人育成にあたって不安に思うことも多く、部署が違えど不安や悩みに共通性も多いのではないかと思います。人事主催で情報交換会
のような取り組みをするのも、自社の新人育成のノウハウがたまる機会となり有効だと思います。
新人配属にあたって、皆さんの企業の受け入れ側の上司はどのようなことをしているのでしょうか?具体的に現場でやっていることを紐解いてみると、人事として支援した方がよいことが見つかると思います。こういったノウハウを人事として蓄積し、ノウハウを横展開していくことで、企業としての育成力も高まっていくのではないでしょうか。