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「元気がない、あの新入社員」のために、人事だけができること

update:
2015 02/14
カテゴリ:
新人フォロー

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現場に配属した後は新人との距離が遠くなる、直接会話する機会もほとんどない、という人事の方も多いです。

 

現場に配属してしまったら、人事は新人の育成に対して無関心でよいのでしょうか?
今回は、現場から離れた立場にいる人事だからこそできるフォローについてお伝えします。

 


 

■ 人事の役割は、新人の「不安・悩みのガス抜き」

 

人事の役割は「新人の働く上での不安を解消し、前に進むきっかけをつくる」こと。いわゆるガス抜きです。

 

もちろん、新人の育成責任は配属先の職場にあるのですが、職場の実態は忙しくて新人に関わりたくても余裕がありません。そんな中、新人は職場の上司や先輩に遠慮がちになり、業務の相談もままならずに、仕事を抱え込みがちになります。また、仕事を抱え込む中で、様々な不安や悩みが生じますが、誰にどのように相談すればよいのかもわからず、さらに抱え込むことになります。

 

業務上の最低限のコミュニケーションはしていても、新人は職場で孤立している状態に陥っていることが多いのです。

 

こんな状態に陥っている新人の状況を打破するため、新人が安心して相談できる相手として、人事が存在できるかどうか。これが、新人の健全な成長に非常に大きくかかわっています。

 

 

■ ガス抜きできるかどうかが、離職防止のカギを握る

 

何か悩み・不安があった時に、人に話す・相談するという行為は思いの外効果を発揮します。以下のグラフは「相談できるかどうか?」の重要性を示したものです。

<グラフ1>では、仕事への不満が理由で転職を考えた人の85%が、相談できる人がいないと回答した結果が示されています。一方、<グラフ2>では、相談できた人については7割の方が効果があったと回答した結果が示されています。

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つまり、相談は、効果がある一方で、相談ができる人が職場にいないという現状があることを示しています。

 

 

■ まずは、ガス抜きの機会を作る

 

相談役が職場にいてその中で解消できれば、人事の相談役としての役割は不要です。しかし、現実にはそれが難しい。人事が、第三者の立場として相談相手になることが必要です。

とはいえ、常に人事が現場の新人の様子を見て、フォローするというのは難しいでしょう。

人事に気軽に相談できる機会として、私は「人事面談」という場を活かすことをおすすめしています。以前弊社セミナーに参加した企業様にアンケートをとったところ、だいたい5割くらいが面談を実施していました。この機会を、最大限活かすのです。

 

 

■ 相談される人事、相談されない人事

 

既に人事面談をされている企業から、
「面談ってそんな効果ないよ。本音はどうせ言わないし」
と言われることがたまにあります。一方、某新聞会社様では、「有給休暇をとりたいと言い出しにくいがどうしたらいいか?」「休暇中に急な仕事の呼び出しがあって大変。どう対応したらよいか?」などリアルで率直な話を新人から相談されるそうです。両社は、何が違うのでしょうか。

 

私は、3つポイントがあると思っています。

 

  • 1.必要なタイミングを外さない

    「もうダメです。辞めようと思います」というタイミングでの相談は最悪です。このような事態になる前には、必ず予兆があります。
    予兆をつかむのはとても難しいですし、現場に任せることと思いがちですが、現場に余裕がないことも多いです。人事の立場からも、普段から配属先の新人に関心を持ち、現状を見てください。気にして見ていると、いつもと異なる変化が見つかるはずです。その変化があったタイミングでフォローするのです。
    例えば、勤怠状況を見て深夜残業が何日も続いている場合には声をかける、日誌を見てネガティブな発言が続いていたら声をかける、という工夫をされている企業もあります。3つあるポイントの中でも、これが一番重要。タイミング次第で効果が大幅に変わります。

 

  • 2.本気で関心を持つスタンス

    効果がないと思っている方は、その新人に対して本気で関心をもって聞いてあげていないから、本音も話せてもらえず、ただ形式的に話を聞いているだけになっているのだと私は思います。
    新人にとって一番つらいのは無関心です。誰にも見てもらえていない、自分の仕事には関心がない・・・と思ってしまうことです。一方で、関心を持って働きかけてくれる相手には本音をしっかり話します。
    関心を持って聞いてあげるという機会自体が、新人にとっては安心して相談できる場となり、適切なフォローを行える場になるのです。

 

  • 3.フォーマルすぎない場

    「人事面談」というと何か堅苦しい印象を新人に与えることもあるでしょう。
    ある企業の人事部長は、気になる新人に対しては、「定例ランチ」とう形で毎月時間をとり、そこでざっくばらんに現状を話すようにしているとおっしゃっていました。
    フランクな場を設定して話せる機会をつくることで、新人も安心していろいろな相談をしてくるそうです。拠点が離れている場合は、電話で話すという場合もあるようです。

 

この3つのポイントに気をつけて、人事面談のように新人とコミュニケーションを取る時間を作ることが、元気のない新人を前向きにさせる上で、大切なことです。

 

 

■ まとめ

 

今回は、元気のない新人に対して、人事だからこそできるフォローについてお伝えしました。ポイントは下記の3つです。

 

  • 人事の役割は、新人の不安・悩みのガス抜き(前に進むきっかけづくり)
  • ガス抜きのために「人事面談」の場を有効活用
  • 新人に対して関心を持ち、「タイミング」を外さない面談で、相談される人事になれる